2011年3月11日に起きた東日本大震災。それに伴う福島第一原子力発電所事故の影響により、JR常磐線は9年もの間不通区間が存在していました。双葉駅はその間ずっと人を迎え入れることも送り出すこともなく、ただただその日を待っていました。震災から9年後の2020年3月4日、避難自治体の中で一番最後に避難指示が一部解除となった双葉町。復興に向けて大きな一歩を踏み出しました。
迎えた3月14日。双葉駅を含む3駅が営業再開となることに伴い、常磐線が全線再開。それを記念し、ふたばプロジェクト独自で常磐線のお出迎えを行いました。本来であれば、この日は双葉町の一部避難指示解除と双葉駅再開を記念したイベント“ふたば、ふたたび☆ファンダフルフェスタ”が行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響でやむなく延期。ですが、ふたばプロジェクトとしても“何かお祝いしたい!”というアツい想いから、急遽特製“ふたば、ふたたび☆”のぼり旗を制作!また、この機会に一番列車の雰囲気も味わいたいということで、列車班と車班に分かれて双葉駅へと向かいました。
列車班は当日5:33原ノ町駅発の常磐線に乗車。すでに再開を心待ちにしたたくさんの人が駅に溢れかえっていました。列車が発車した際の車内アナウンスの言葉。「常磐線は東日本大震災から9年の月日が経過し、本日2020年3月14日常磐線全線運転再開の日を迎えることが出来ました」。ここに至るまではたくさんの苦労と涙があったことでしょう。この言葉に私たちも目頭が熱くなりました。
小高、浪江…と移りゆく車窓の景色を眺めながら、ドキドキした気持ちを胸に双葉駅に到着すると…なんとお出迎えをしてくれたのは、先程原ノ町駅で別れた車班の二人!駅に到着するや否や、急いでのぼり旗を準備して迎えてくれたんだそう。そこからは全員で1人1本のぼり旗を持って、次々に駅に入ってくる列車をお出迎えしました。
手を振って挨拶をするとにこやかに振り返してくださったり、ホームの様子を写真におさめようとしている人、親子で常磐線を往復利用してくださる人、たくさんの方が再開をお祝いしてくれている様子が伝わってきました。ほぼ休むことなく東口広場とホームを行ったり来たりで息が上がる場面もありましたが、一緒に再開を喜んでくれている皆さんを見ていると、疲れが吹き飛ぶようでした。
またこの日はイベントを楽しみにしてくださっていた方々に少しでも笑顔になってもらおうと、七福ダルマの顔出しパネルも制作!新駅舎をバックに写真撮影をして、双葉駅に降り立った記念になれば…との思いから制作に至りました。新駅舎をバックに笑顔でピースサインをする方、パネルを撮影する方などいろんな方の笑顔を見ることが出来ました。
11時台に入ると、震災後初めての特急“ひたち”が双葉駅に到着。ホームでは標葉せんだん太鼓保存会によるお出迎えがあり、東京・仙台各方面から到着した乗客の皆さんに“復興の音色”を力強く響かせていました。この時間になってくると駅や駅周辺はたくさんの人で賑わっていました。避難先からふるさとへ駆け付けた人、同じ被災自治体だけど常磐線再開を応援してくれる人。いろんな人がこの日を待ち望んでいた様子が伺えました。
あいにくの雨模様と3月とは思えない寒さで、手がかじかみながらのお出迎えとなりましたが、双葉駅での青空はこれからたくさん見ることが出来るでしょう。今は復興の第一歩に過ぎませんが、町にとっては未来に向けた大きな一歩。この双葉駅に列車がたくさんの笑顔を運んできてくれたなら、駅から一歩出れば、そこから先は私たちふたばプロジェクトの出番。たくさんの方がもっと笑顔になれるような魅力あるまちづくりをしていかなければならないと、強く決意しました。